塾講師の雑談②

本日もちょっとした雑談を書いていきます。

塾講師をしていて小学校低学年のお子さんを塾に通わせている親御さんからよくある質問があるので少し書いていきます。

共通の悩みを持たれている親御さんもいるかもしれませんのでいくつか載せます。

・1つ目は塾の掛け持ちの頻度について

・2つ目は学校の学習進度と先取りについて

これは今年コロナで学校の進度の遅れや公立の小学校でも学校ごとのばらつきがあったので例年よりこの手の質問が多かった状況です。

・3つ目は塾から(中学受験特化の)大手進学塾に変える時期について

これは私のいる塾でも受験対策はしていますが多くの首都圏に在住している親御さんはわが子を合格実績の高い皆さんもよくご存じの有名進学塾に通わせることを選択肢の1つにいれているので都内では割と普通に相談されるケースです。

逆に地方ではあまりみられないかもしれません。

経営者からするとわざわざ顧客がライバル塾に流れるのを良しとは思わないでしょうから、しかし、都内では中高一貫校に入らせたい親御さんも多く場所にもよりますが周りも中学受験することが普通だという環境もあり自然な流れで今通っている塾に相談し、相談された塾側も目くじら立てることはあまりないと思います。

というのも都内の小規模の個人塾だとむしろ塾に入らせたいと毎年ある程度の親御さんからの問い合わせがありますし講師の数が足りないのでお断りするケースすらあり、事業規模を拡大するという経営方針でもない限り細々とやっていけるという地方で塾経営している方からすればぜいたくな悩みがある現状です。(本来日本の将来を考えれば嘆くような事ですが少子化のこのご時世で東京一極集中の恩恵があるともいえます)

 

さて余談が長くなりましたが、あくまで以上の3つの質問に個人的に答えるとすると、

 

1つ目 塾の掛け持ちの頻度については、ほとんどの相談者のお子さんはすでに掛け持ちしているお子さんも多く毎日何かしらの習い事をしているのでそれの整理がメインの課題になります。

たとえば、小学校低学年のお子さんの場合、水泳(スポーツ全般)や習字、公文や塾といったものに通わせている方が多いと思います。

正直申しますと子供に聞いてみてその意見を尊重するのが一番親子間の信頼関係を損ねずに済みますし、その子の自主性を高めることになるので良いことだとは思うのですが、親御さんの意図もあるのでそうはいきませんよね。

そこで妥協策にはなるのですが、今習ってるものの(親御さんや塾側が考える)優先順位とその子が本当にやりたい習い事の順位を比較します。

ここからのすり合わせが大変なのですが、長期的にみてもここでお子さんの意思や主体性を潰してはいけません。しかし、学習進度を進めて良い成績をとってもらいゆくゆくは中学受験までつなげたいと思っている親御さんの想いもあるので、例えば塾が週1だった場合週2にしてやりたい習い事はやらせてあげるなどし、親御さんとお子さんどっちの順位でも低かったものに関しては思い切ってやめるなどして、結果的にどちらかが100の選択だけは取らないようにします。

中学受験は親御さんの力(サポート)も大きく影響し二人三脚なのでここで相手が小学校低学年だとしてもきちんと話し合い決めていくことがあとあと効いてきます。

 

2つ目 学校の学習進度と先取りについては、今年度はコロナの影響で特殊でした。

というのも自粛前から懸念されていましたが、運よくというか事前にリモート授業が行えるように準備していた小学校に通われていたお子さんや自宅学習がうまくいったお子さんはどんどん先取り学習をして授業再開後も過剰なストレスはなく勉強をすることが出来ている一方で、まったくリモート授業や補習がなく課題だけ段ボールで送られまったく数か月の間学習をしていなかったお子さんは学習意欲を無くしている現状がありました。

このことで、家でしっかり教えていない親御さんに自己責任だ教育放棄だと非難の声も少なからずあったようなのですが個人的にはできなかったご家庭を責める気持ちにはなりませんでした。

皆さん(僕も含めて)自分の尺度でしか物事を見ようとはしないのでそのような批判もする方がいるのだとおもいますが、実際に親御さんに話を聞くとシングルマザーでなおかつコロナで職を失い、バイトを日中、深夜と掛け持ちしたりととてもじゃないが自宅で子供の学習をサポートできる状況ではなかったという方もおられました。

まあ、このようなことを書いても、そういう状況にしたのは親であるあなたの責任でしょと追い打ちをかける方もいるのでこの辺にしておきます。

通常は学校の学習についていけているお子さんは予習メインで毎回復習も苦手な単元をする形にします。それから、学校の学習についていけてない子は焦らずに今までの復習基礎固めに注力します。

これは当たり前のことを書いているのですが前者はすんなりいきますが後者はまず親御さんが我慢することができないことが多いです。なぜなら、後者は目の前のテストや成績に反映されるまで時間がかかるからです。

しかし、ここで目の前の成果に目を奪われてそのような子を予習メインにするとあとあと取り返しがつかない状況になります。(当然学年にもよりますが)

3つ目 塾から(中学受験特化の)大手進学塾に変える時期については、大手進学塾や親御さんの間で言われているのは4年生の春から説と3年生の秋から説なのですが今は、乗り遅れまいと3年生の秋から大手進学塾に入れる方が多いみたいです。

正直言うと、親御さんの考え方でいいと思うのですがここで冷静になって考える必要があります。

まず費用面なのですがどこの大手塾も主要4科目で大体年間70万前後それに夏休みや冬休みの勉強合宿や特別講座をいれると年間100万ちょっとなので4年の春から入っても3年間で約300万かかることになります。

それから、この時期から入った方がいい理由としてよく言われているのは中学受験の出題内容との関係です。

実はあまり中学受験を知らない方からすれば初耳かもしれませんが、小学校6年間で習う内容を完璧にしても首都圏では偏差値上位校は合格するのが難しく中堅校も受からない場合があるという現実です。まず、問題の解法を事前に学んでないと自力で解くのはほとんど不可能です。むしろ、初見で独自の解法で解ける子は天才かもしくはとんでもなく問題(受験用のものではなく数検やそのほか)の種類と量をやっている可能性があるのでそういう場合のことは除外して考えたほうがいいでしょう。

大手進学塾のカリキュラムをみると(すべて把握しているわけではありませんが)、6年間で習う内容は早ければ5年生になる前、下のクラスでも6年生になる前には終わらせている状況でなおかつ中学受験で出る特有の問題の解き方や公立中学で習う範囲も学習していくことになります。

つまり学校の成績がどんなによくても受験専用の学習が別途必要なことに変わりはありません。

しかし、どのご家庭も何百万も教育費が出せるわけではありませんし数は少ないですが自宅学習だけでトップ校に入ったお子さんもいます。

自宅学習の場合、モチベーション維持と学習進度の確認が必須でなおかつ志望校の過去問分析とそれに伴い4教科の中学受験用の学習参考書選びと学校で習う6年分の基礎固めを親御さんの目利きで行うことになるのでとんでもない労力にはなりますが費用は、参考書代、過去問代、その他資料集代、業務用コピー機のリース代、歴史資料館などで実物をみるための遠征代などがかかりますが流石にまず300万はかかりません。

ただ、塾講師としての立場を抜きにしてもそれしか方法がないご家庭以外あまりおすすめはしません。ほとんどの場合、親子関係が悪くなります。衝突も増えて子供のためと思いつつやっている行為がいつしか親の価値観を押し付けているだけに変質することもあるあるです。

だからこそ、絶妙な距離感で子供をサポートして自宅学習のみで合格まで二人三脚で持っていけたその子供も親御さんもとてもすばらしく両方偉いと心の底から尊敬します。

以上、一講師の個人的な見解を述べました。

ではあまり参考にならなかったとは思いますが、世迷言と思っていただいて次回もお越し頂ければ幸いです。